2024年8月20日、男子テニス界に衝撃のニュースが走りました。
現世界ランキング1位のヤニック・シナー選手が2024年3月のインディアンウェルズの大会期間中の薬物検査で陽性になったことが発表されました。
その後、意図的な薬物使用でないと判断され、処分はありませんでした。
本ページでは、そんな薬物騒動について記載します。
ちなみに、シナー選手のプロフィールはこちら。
概要
本騒動のあらましは以下の通りです。
(制度が複雑なため、一部正確性に欠ける部分があるかもしれません。)
・2024年3月に開催されたマスターズ1000 インディアンウェルズの大会期間中にヤニック・シナー選手が2度の薬物検査を受け、2度とも陽性反応。(通常であればこの時点で選手は出場停止。)
・シナー選手が陽性結果に対して、ITIA(国際テニス インテグリティ・エージェンシー)に異議を申し立て。
・異議申し立てが認められ、出場停止は免除。
・調調査の結果、シナー陣営の理学療法士が自身の怪我治療用に使ったスプレーに禁止薬物が含まれており、そのスプレーを使用後、シナー選手に施術を行ったことが判明。
・「シナー選手本人が意図して使用したものではない。」という結論から今後も出場停止は免除されたが、インディアンウェルズで獲得した賞金325,000ドルと400ポイントは没収。
・2024年8月20日にITIAがシナー選手の薬物騒動について発表。
・2024年8月23日、シナー陣営が今回の薬物騒動を受け、理学療法士とトレーナーとの契約を解除したことを発表。
全米オープンの直前のニュースだったこともあり、シナー選手はこのまま出場するのか?という話が出てたりもしましたが、無事に第1シードとして出場しています。
選手の反応
世界ランキング1位の選手の薬物に関するニュースだったこともあり、テニス界は大騒ぎ。
多くの選手からSNSなどでコメントが出されました。
ここでは、その一部を紹介します。
■ニック・キリオス選手
馬鹿げている。偶然か計画的かはともかく。禁止物質で2回も検査されるなんて。2年間は出場停止になるべきだ。パフォーマンスが向上してるだろう。マッサージクリーム...いいね
■シャポバロフ選手
汚染物質で出場停止処分を受けた他の選手たちが今どんな気持ちか想像もつかない。異なる選手に対する異なるルール。
■ミルマン選手
結論を急ぐ前に、シナーの体内からは10億分の1グラム未満の禁止薬物が検出された。僕は彼を信じている。混入を考慮して基準値を変えるべきかもしれない。最後に、テニスを含む全てのスポーツ選手がTUE(治療目的使用に係る除外措置)を使用することを許可しているのに、なぜこの件で大騒ぎになっているのだろうか?
ITIAは(ドーピング検査で陽性となり約1年半後に処分が解除された)シモーナ・ハレプの惨事よりも1000倍もうまく対処した。シナーはツアーでプレーする選手の中で最も良い人だ。批判する前にせめて報告書を読んでほしい
■ダニエル太郎選手
これは明らかにおかしい。ワザとではなくても陽性になった瞬間に6ヶ月の出場停止があるはず。出場停止なし所が4ヶ月後にこの発表があってその間に大会出続けてるのも全てが今までのプロトコルと違う。政治
確かに、過去に薬物陽性になった選手は身の潔白を訴えながらも、出場停止処分になった事例が多いため、今回との対応の違いについて、不満が出ています。
ただし、これらのコメントはシナー選手個人ではなく、あくまでITIAの組織に対してでしょう。
(10億分の1グラム未満の禁止薬物でさえ検出できる精度って、物凄い技術ですが、そのレベルがどの程度選手に影響するんでしょうね。。。)
いずれにしても、今回の発表が半年近く経って発表されるなど、選手としてはコメントをしたくなるような対応になっているので、今後、薬物検査のプロセスに対して何らかの見直しが入るかもしれません。
最後にジョコビッチ選手が全米オープンの記者会見での発言の一部を紹介します。
■ジョコビッチ選手
選手たちがフラストレーションを感じているのは理解できる。一貫性が欠けているからだ。僕の理解では、彼のケースは発表された時点で基本的に解決済みだった。しかし(陽性の)知らせが本人とチームにもたらされてから5、6か月がたっているはずだ。
だからシステムに多くの問題がある。標準化した明確なプロトコルが欠けている。人によって扱いが違うのではないかと疑問に思う選手がたくさんいるが、その気持ちは分かる。
おわりに
本記事ではシナー選手の薬物騒動のニュースを紹介しました。
シナー選手は23歳でありながら、2024年8月30日現在で世界ランキング1位。
これからいくつタイトルを取るんだ。という期待に膨らんでいた矢先に発表された衝撃のニュースでした。
ジョコビッチ選手も発言していますが、今回の件からテニス界の薬物検査のプロセスの見直しが必要になっているのかもしれません。
テニスファンとしては、すべての選手がクリーンかつ、安心安全に競技に集中できることを願っています。